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桐野夏生さんの「ナニカアル」を読んだ感想

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「桐野夏生のナニカアルの書評や感想を読みたい」

 

「桐野夏生のナニカあるのあらすじを知りたい」

 

「ネタバレを読みたい」

 

そんな人に向けて、今回は桐野夏生さんの「ナニカアル」の感想を中心にブログでご紹介したいと思います。

 

私は読書好きで、いつも何かしら本を読んでいます。桐野夏生さんの作品もたくさん読みました。

 

ただ、弱点として、読んだ本の内容をすぐに忘れてしまうため、また同じ本を買ってしまうことも…

 

同じ本を買ったことに途中で気がつくのですが、忘れているので、最初に読んだ時と同じように感動したりドキドキしたり、涙を流したりします。

 

今回はみなさんにご紹介するために、読んだ直後にこの記事を書いています。

 

 

 

 

林芙美子のことが気になったら読むといい本

 

 

ナニカアルは林芙美子さんという小説家についての本です。

 

林芙美子さんについては、新潮社のHPにプロフィールがありましたので、引用してご紹介させてもらいます。

 

(1903-1951)福岡県門司区生れ。1918(大正7)年尾道高女に入学。1922年卒業すると愛人を追って上京。翌年婚約を破棄され、日記をつけることで傷心を慰めたが、これが『放浪記』の原形となった。手塚緑敏という画学生と結ばれてから生活が安定し、1928(昭和3)年「女人芸術」に「放浪記」の副題を付けた「秋が来たんだ」の連載を開始。1930年『放浪記』が出版されベストセラーとなる。他に「風琴と魚の町」「清貧の書」「牡蠣」『稲妻』『浮雲』等があり、常に女流作家の第一線で活躍しつづけた。

 

私は知らない作家さんだったのですが、放浪記くらいは名前だけ耳にしたことがあります。

 

ただ、舞台の放浪記のイメージが強く、小説が原作だとは知らなかった。

 

先日、新宿区にある林芙美子記念館に行く機会があり、その際に林芙美子さんに興味を持ち、いろいろ調べていたところ、桐野夏生さんが林芙美子さんの小説を書いていると知りました。

 

桐野夏生さんが書くものなら、間違いなく面白いと思い、ナニカアルを読むことにしたのです。

 

私のように、林芙美子さんのことを知らなかった人や、気になっている人にはおすすめの本です。

 

私が気になった林芙美子さんのプロフィールをご紹介しておきます。

 

複雑な家庭に生まれ、貧しい暮らしが長かった

当時単身でパリに渡って暮らした

新聞社の特派員として戦地に赴いた

戦争に翻弄され多くの批判を浴びた

代表作「放浪記」は自分の日記を小説にしたものである

恋多き女性だった

夫の緑敏は温厚な人

心臓麻痺で47歳で死去

養子の男児がいたが、16歳で事故死

 

こんな波乱万丈そうな小説家について書いた本、気になっちゃいますよね。

 

 

 

この本のあらすじ

プロローグ

林芙美子と夫の緑敏の死後の話からスタートします。

 

芙美子の姪の房江と古くから付き合いのある黒川との手紙の交換という形で、林芙美子とその周辺の人々の人生について書かれていきます。

 

そして、林家で見つかった一つの原稿がきっかけで物語がスタートしていきます。

 

 

 

 

第1章 偽装

ここからは芙美子が過去に体験したことを日記に記していく、という体裁で様々な出来事が書かれていきます。

 

何を偽装していたのか、というのネタバレになりそうなので、ここには書きませんが、ネタバレを見たい方は最後をご覧ください。

 

第1章では芙美子の戦時中の日常生活の中で、毎日新聞の米田という人物と待ち合わせして話をする機会があります。

 

そこで芙美子が毎日新聞や他の作家に嫌われたり、世間からバッシングを浴びた経緯が書かれています。

 

 

 

 

第2章 南冥

ここからは芙美子が南方に行くことになった経緯(戦時中の陸軍報道部嘱託として)、実際に行くまでの航海中に起こったこと、恋人(ダブル不倫)の謙太郎とのやりとりなどが書かれています。

 

行くまでの経緯の中では他の女性作家とのやりとりがあったり、航海中は芙美子の奔放な恋愛模様が書かれています。

 

ここでのポイントは一緒に旅に出ていた女性作家の窪川稲子との会話です。

 

稲子は芙美子に「尻尾をつかまれないように」と言った内容の忠告をしています。

 

 

 

 

 

第3章 闍婆

ジャワ、と読みます。

 

この章での大きな出来事は、芙美子に当番兵の野口がつくことになったことと、恋人の謙太郎との出会いについて、です。

 

野口という男を信用していいのか悩んでいながらも、意外と便利かもしれないと思ってみたり、揺れている様子がわかります。

 

また、恋人の謙太郎との出会いから男女の関係に発展するまでの様子は、強烈です。

 

 

 

 

第4章 金剛石

この章で芙美子が向かった先はバンジェルマシン。

 

そこで復帰邦人のセレブ、金原藍子に出会います。

 

復帰邦人とはもともと海外で商売していた日本人が、戦争で一度日本に帰国し、軍が攻め取ったその地に再び帰還した人のことだそう。

 

藍子に誘われて、パーティーに出席した際に、藍子が復帰邦人であることや苦労人であること、自分たちの苦労を芙美子にいつか書いてもらいたいという願い、を聞かされます。

 

このパーティーの日に、今後は藍子の家に滞在する約束をして、芙美子は一度ホテルに戻るのですが、戻った先で謙太郎の手紙を読みます。

 

そこで、謙太郎がパーティーの日に芙美子のホテルを訪ねてきていて行き違いになってしまっていたことを知り、藍子の家に行く気をなくし、行くのをやめることにします。

 

その後、謙太郎に無事会うことができ、バンジェルマシンを発つ前の送別会で、再び藍子に会うことになります。

 

藍子は「以前のパーティーで苦労を話したことで、友達や弟が憲兵の取り調べを受けていて、この中にスパイがいる」という趣旨の話をします。また、誤解は解けましたが、芙美子のことも疑っていました。

 

また、芙美子は謙太郎と過ごす中で、以前稲子が言っていた「尻尾」とは謙太郎であることに気がつきます。

 

最後に、謙太郎からダイヤモンドの原石をプレゼントとして買ってもらいます。

 

 

 

 

 

第5章 傷痕

謙太郎はバンジェルに残り、芙美子だけが次のトラワス村へ向かいました。

 

そこで野口が憲兵ではないかという気持ちを野口にぶつけ、野口の知らなかった面を知ることになります。ただ、野口の言っていることが本当かどうか、なぜ本心を突然芙美子に話したのか、捉えどころのない野口に対して、芙美子は不安も感じます。

 

そんな中、トラワス村を出て、スラバヤに向かうことになった芙美子と野口ですが、野口がデング熱に侵され、変わりに着いた当番兵の松本との会話の中で、謙太郎へのスパイの嫌疑や野口・松本の正体についてなど知ることになり、大きなショックを受けます。

 

そして、その後そのことがきっかけとなり、謙太郎との別れが訪れます。

 

 

第6章 誕生

ここでは林家に養子が来るまでのことが書かれています。

 

 

 

エピローグ

芙美子の最期についてや、この回想録をどうするべきか、プロローグに登場した房江が黒川に宛てた手紙で語られています。

 

 

 

 

 

私の感想・書評

 

林芙美子という作家が、大きな偽装をしたことを書いた回想録であることを前提に読んでいると、とてもドキドキする本でした。

 

3章から5章までは、早く次を読みたいと思うような展開が多かったです。

 

私は捉えどころのない野口という存在に対する記述も常に気になりました。

 

芙美子はとても素直で感情の起伏が激しい人だと感じました。

 

「ナニカアル」という題名通り、捉えどころのないナニカアル感じで、読んだ後も色々考えさせられました。

 

林芙美子の本を読んだことがないにも関わらず、林芙美子のことを内面まで知ったような気分になる作品だと思います。

 

桐野夏生さんがたくさんの参考文献を使い、当時の歴史的背景や林芙美子とその周辺の人々のことを入念にリサーチした上で作り上げたフィクションなので、本当の話のように読んでしまいます。

 

リアリティがあり、とても面白かったです!

 

 

 

ここからはネタバレ

ネタバレが嫌な人はここからは読まないでください。

 

ナニカアルでは、夫である緑敏がこっそり所持していた林芙美子の原稿の内容が書かれてます。

 

その原稿の内容は、林芙美子がダブル不倫の相手の謙太郎との子供を身ごもり、夫に秘密で出産し、産院から養子として引き取ったと嘘をついて自分で育てることにした、というものです。

 

作家である芙美子が戦時中にインドネシアなどの南方の海外にペン部隊として派遣されている時の様子や、謙太郎との出会いから別れまで、が書かれています。

 

 

 

 

 

芙美子がペン部隊として派遣されている時、新聞社勤務の謙太郎も諸外国をせわしなく飛び回ります。

 

謙太郎はスパイの嫌疑がかけられ、芙美子はその恋人として謙太郎をおびき寄せるための道具として使われます。

 

おびき寄せ、尻尾を掴むために、軍は芙美子に野口という憲兵をつけます。

 

野口は変なやつだけど、最終的には芙美子と心を通わせ、芙美子にとっては味方となりました。

 

その後に付いた松本という憲兵はやな奴で、やりとりも凄まじかった。

 

結局、松本のおかげで芙美子は自分の置かれた状況を知ることとなります。

 

最後は謙太郎がスパイであるという疑惑が原因で、芙美子と謙太郎は別れることになります。

 

その後、芙美子が帰国してから、妊娠がわかり、秘密で出産することになるのです。

 

 

 

 

 

まとめ

林芙美子さんが「生きることに必死」である様子が、まるでノンフィクションのように書かれた、濃い一冊です。

 

彼女を知る人にも知らない人にも、オススメの一冊。

 

桐野夏生さんが好きな人にももちろんおすすめ。

 

 

 

 

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